ももくその、楽園てどこにあるんだろう・・・。

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『ライフ オブ パイ/トラと漂流した227日 』 の感想 2(超!ネタバレ)

先日、原作本がアマゾンから届いた。

パイの物語(上) (竹書房文庫)

しかし、まだ上巻の46ページほどしか読んでいないが、かなり面白い。
やっぱり映画よりも原作の方が深いし、タイトルの「パイの物語(Life Of Pie)」
が相応しい内容。


前回では、ネタバレにならないように、この映画構成の素晴らしさを記事にしましたが
(それでも確信に触れなかったのでスカスカの内容)、今回はガッツリネタバレです。

といっても、本は読み始めたばかりなので、映画のネタバレになります(笑)

※ これから映画を見る方は決してこの先を見ないで下さい(隅々まで答えを知って
  見たい方は構いませんが・・・(笑))



物語は、カナダ人作家が小説のネタ探しの為に、パイの体験談を聞きに訪れ、
パイの回想から始まる・・・。
前回も書いた通り、少年パイはインド人でヒンドゥー教徒でありながら、キリスト教
イスラム教も信仰する少年。

ライフ3

16歳の時に、一家がインドからカナダへ移住する為、一家が営んでいた動物園の動物と
共に日本の貨物船に乗る。

しかし、嵐に遭い、救命ボートに乗って助かったのは、パイと足の骨を折ったシマウマ、
オレンジジュースと言う名のオラウータン、ハイエナ、リチャード・パーカーと言う名の
ベンガルトラ。

ライフ1

最終的にはパイとリチャード・パーカーだけになる。
パイは、トラと距離を保ちながら生き延び、最後はお互いに衰弱し、ボートは
島に漂着。

美しいと思った島は、昼間は安全で食物や安心な水を与えるが、夜は全てを奪ってゆく、
実は人食い島だった事が分かる・・・。
食料を積んで、島を後にするパイとリチャード・パーカー。

メキシコのビーチに辿り着き、助かる2人。
しかしリチャード・パーカーは、振り返る事もなく去ってゆく。

助かったパイのもとに、日本人の保険調査員が話を聞きに来る。
しかし調査員はパイの話を受け入れない。
「トラや命を奪う不思議な島の話ではない、本当の話を・・・」と、求める。

そして最後の最後に、パイはもう一つのストーリー(作り話)を話し始める。
そこで語られたのが、

*・゜゜・*:.。..。.:*・*

小舟に乗って漂流していたのは全部で4人。
パイ、船員の一人、パイの母親。
そしてもう一人、菜食主義の母親に「肉汁ぶっかけごはん」を出し、
「カレー野郎に食わす食事はねえ!」と、恫喝した人種差別のコック。

足の骨を折っていた船員を見たコックは「命を助ける為」と言い、足を切断し、結果、
船員は死に至る。

船員の足の切断を手伝ったパイの母は、
「食べる為に殺しのね!」と怒り、コックに詰め寄り、最終的にはコックに殺されて
しまう。

母を殺されたパイはコックを殺す。

*・゜゜・*:.。..。.


この話を聞いた小説家のカナダ人は言う。

「足の骨の折れたシマウマは船員で、バナナに乗って漂着したオラウータンは母親、
 ハイエナはコック・・・。 そして、トラは君だ。」

そこでパイは言う。
「2つのストーリーを話した。君だったら、どっちの話の方が良い?」

パイの問いに、カナダ人はこう答える。
「トラと一緒の方だ。そっちがいい。」

■■■■■

前回も書いたが、この映画のキーになっているのは、「眠くなった」と言われる前半。
ここに、この物語の伏線がある・・・。

映画レヴューの中には「2つの話のうち、どっちが本当なの?」とか「ラストが
視聴者に委ねられている」などと書いてあるのを見る。

しかし映画前半で全ての事柄が一つの答えに向かって、ベクトルが向いているのが分かる。
ここに気が付くか気が付かないかで、ラストの印象が違ってくるのだ。

ベクトルが示す先にあるのは、宗教観とカニバリズム。

そう、つまりこの映画の冒頭の質問。

ライフ0

「なぜ少年は生きる事が出来たのか」のアンサーは・・・。


『人肉を食べて生き延びたから』


なのだ。

227日間漂流しても生き永らえたのは、肉食獣のリチャードパーカーがそうしたように
パイもコックを食べたから。

リチャード・パーカーはパイ自身なのだ。

しかし映画の映像では、そのような描写は一切出てこない。
この映画の凄いのは、そうした凄惨なシーンを一切出さず物語を表現した所。

虎のリチャード・パーカーでさえ、ハイエナを襲うシーンはあっても、肉を食す姿は
ない(あるのは魚を食べる時だけ)

そんな中、要所要所で、それらを示唆しているのがよく分かる。
まず、トラの名前である「リチャード・パーカー」。

この名はイギリス人だとすぐにピンとくる名前だと言う。
19世紀に実際に起こった海難事故「ミニョネット号事件」がそうだ。

イギリスからオーストラリアに向かう船が難破。
船長1人、船員2人、給仕の少年の合計4人の乗組員が救命艇で脱出するものの、食糧難に
苦しみ、結果、衰弱していた17歳の少年給仕が殺害され、みんなに食されてしまう。

その少年の名がリチャード・パーカーだ。

私はこの映画を見ながら思い出したのが、ウルグアイ空軍機571便遭難事故。
後に映画「生きてこそ」で、1993年公開。

生きてこそ

墜落事故で生き残った生存者が、真冬のアンデス山脈で亡くなった乗客を
食べて生き延び、無事に生還した実話。

全員カトリック教徒だった彼らが取った行為(人肉食)は、聖餐として行ったのだという。

最後の晩餐

『イエスはパンを「これが私のからだである」と言い、ワインを「これが私の血である」
 と言って、弟子たちに与えた』


パイは劇中で魚を殺す時、
「ヴィシュヌ神よ、私たちを助ける為に魚に変身してくれてありがとう。」
と、泣き叫びながら祈りを捧げる。
目の前の魚を、信仰している神の化身として息の根を止めるのだ。

このセリフ、パイが信仰しているうちの一つ。
キリスト教の聖餐(ウルグアイ空軍機571便遭難事故)を思い出しませんか?

そしてパイが信仰している宗教も大事な要。
一見、意味がないようにダラダラ前半に続く、パイの(インドの)宗教観も大きな布石だ。

インド人の8割が信仰しているヒンドゥー教。
そのヒンドゥー教徒のほとんどが、ベジタリアンである。

輪廻転生を強く信じている彼らは、目の前をうるさく飛ぶ蠅を、生前の友人や親族に
見立て、時には腕に止まって血を吸う蚊を死後の自分と想像する。(ってそれはかなり
身分が低い人々になるけど)

私がインド旅行に行った時、ガイドをしてくれたパルさんも「蠅も蚊も殺しません」と
言って、車に入った蠅をそっと外に出していた。

映画中、お腹を空かせたパイが魚を殺し、食べるシーンを見た時に思った。
敬虔なヒンドゥー教徒のパイの目を通したら、これはただの魚ではなく、リアルな
人間にしか見えないのではないだろうか?

もし主人公が白人だった場合、魚を食すると言う行為には、なんのメッセージも載せられ
なかっただろう。
生と死の間にいる白人ベジタリアンが泣いて魚を食するのと、インド人では圧倒的に
伝わり方が違ってくる。

この物語を語る上で、主人公はインド人でなければならないのだ。
インド人だったからこそ、最後の最後までみなリチャード・パーカーに騙され(?)
凄惨な物語も幻想的なサバイバル生還物語に仕上がったのだと思う。

映画の中ではヒンドゥー教の神であるクリシュナの話が出てくる。
(クリシュナはヴィシュヌ神の第8の化身)

クリシュナ

「クリシュナが泥を食べてる」と、話を聞いた母のヤショダーは、クリシュナに
「泥を食べてはいけません」とたしなめ、口を開けさせる。
するとそこには、全宇宙が広がっていた・・・・、と言う話。

泥(口にしてはいけない物)を食べ、その口の中に広がる宇宙とは、なんとも哲学的で、
「神を見た」と言うカニバリズムと線が引かれいるような気がする。

「リチャード・パーカー」「ヒンドゥー教徒」「輪廻転生」「ベジタリアン」「魚を殺し食べる」

たったこれらの布石で、早くも物語り中盤で真実を表したプロットは、「あっぱれ」と
言うしかない。

人は・・・。
判りやすく、理解できて、納得できるものだけを真実とし、それ以外を排除しがちだ。
自分に都合の良い答えだけを導き出しているのかもしれない。

日本人の保険調査員が、パイの「トラと漂流した話」を受け入れられなかったように・・・。
過酷な経験をしたパイも同じだ。

自分が犯した事実を受け入れるにはあまりにも凄惨過ぎた為、リチャード・パーカーが
産まれたのだろう。

前半でパイの父親が「人間は見たいと思うものを見るもんだ」と食事中に話してた。
ここも重要な布石である。

トラと友達になれると信じ、近づいた幼いパイ。
しかし父親に、「肉食の猛獣と友達にはなれない。なれると思ったのは、
『お前はトラの目に映るお前自身を見ただけだ』」と言われる。

リチャード・パーカーはパイなのだ。

物語後半に出てきた「肉食の島」、それもパイ自身を表している。
昼間は人に水と食物を与える安心な島。
しかし夜になると水は酸となって生き物を全て溶かし、植物は生き物を食らう。

まさに、善であり悪である。
生き物を殺さないベジタリアンな自分と、生きる為に人肉を食べたもう一人の自分が
重なる。

と同時にこの島は、食物連鎖と、この世の生物その物を象徴しているのだ。
(ここで私は、虫も殺さないヒンドゥー教徒が、イスラム教徒を殺戮しまくった
 グジャラート暴動を思い出す(劇中に出てくる)。

 宗教も同じく二面性を持っているのだ。
 魔女狩りを行ったキリスト教も然り、イスラム教も・・・・。)

この物語は、カニバリズムを正当化したり言い訳をする内容ではない。
熱心に宗教を信仰していても、強い倫理観を持っていても、そうする時にはそうしてしまう。

何かを強く伝えたい・・・と言うのではなく、ただそこにある真実をトリックアートの
ように作り上げた物語なのだ。

おしっこ(Pissing)を意味する名であるピシン(パイの本名)。
皆からからかわれ、ピシンではなくパイ(円周率)とみんなが呼ぶように苦心する。

おしっこから無理数のパイ(π)に・・・。
汚い小便から、宇宙のおおもととなる基本数のπ。

実によく出来た物語であると思う。



久々に、おばちゃん、ノックアウトされたがな~。

かお20

これから先の、原作を読むのがとても楽しみ。


おまけですが~。
日本を代表する仏教も、輪廻転生があり、カニバリズムの話がある。

ブッダ0



ブッダ



ブッダ1


実はこのうさぎ・・・。
ブッダの生まれ変わりなのである。

神、自らが、相手を助ける為に火の中に飛び込み、食される。



そう考えると、自分を助けてくれたヒーローを食べてしまう、アンパンマンも
同じく神なんだな~。

アンパンマン

アンパンマン、えぐいわ(笑)

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